「美術評論のこれまでとこれから」尾崎信一郎

質問1これまでの美術評論でもっとも印象的なものについてお答えください。

宮川淳「アンフォルメル以後」 形式における美文、内容における犀利さにおいて圧倒されれ、何度となく読み返した論文です。ただし現在ではそれ以後の日本の現代美術の展開にとって功罪相半ばするのではないかと感じています。
Michael Fried “Art and Objecthood” 言わずと知れたグリーンバーグ門下の俊英によるミニマル・アート批判の論文です。難解でありつつこれほど多産的な論文をほかに知りません。文体を含めて自分の批評のスタイルについても大きな影響を受けました。

 

質問2これからの美術評論はどのようなものになりうるかをお答えください。

 

 

著者: (OSAKI Shinichiro)

鳥取県立博物館館長。1992年 大阪大学文学部大学院芸術学研究科博士課程単位取得修了。1987年より兵庫県立近代美術館に学芸員として勤務。1995年より国立国際美術館に研究員として勤務。1998年より京都国立近代美術館に主任研究官として勤務。2006年より現職。専門は日本とアメリカの現代美術。主な著書として『絵画論を超えて』(1999年 東信堂)、共著として『美術批評と戦後美術』(2007年 ブリュッケ)、企画した展覧会として「重力―戦後美術の座標軸」(1997年 国立国際美術館)、「アウト・オブ・アクションズ」(1998年 ロスアンジェルス現代美術館)、「痕跡―戦後美術における身体と思考」(2004年 京都国立近代美術館)、「彫刻家 辻晉堂展」(2010年 鳥取県立博物館)、「日本におけるキュビスム―ピカソ・インパクト」(2016年 鳥取県立博物館)。