「美術評論のこれまでとこれから」荒木夏実

質問1これまでの美術評論でもっとも印象的なものについてお答えください。

笠原美智子『ジェンダー写真論』
日本でフェミニズムの視点から写真を語る例は少なく、貴重な評論集だと考える。

 

質問2これからの美術評論はどのようなものになりうるかをお答えください。

SNSによって単純に白か黒かを判断するような意見が世の中に溢れており、じっくり議論する場は減っているように思う。美術評論も転換期に来ているかもしれない。美術内美術にとどまらず、社会とつながる議論を提起するような評論がより多く出てきてほしい。

 

 

著者: (ARAKI Natsumi)

キュレーター/東京藝術大学准教授。 慶應義塾大学文学部卒業、英国レスター大学ミュージアム・スタディーズ修了。三鷹市芸術文化振興財団(1994-2002)、森美術館(2003-2018)でキュレーターとして展覧会および教育プログラムに携わる。主な展覧会に「小谷元彦展:幽体の知覚」、「ゴー・ビトゥイーンズ展:こどもを通して見る世界」、「ディン・Q・レ展:明日への記憶」、「六本木クロッシング2016:僕の身体、あなたの声」など。「ゴー・ビトゥイーンズ展」で第26回倫雅美術奨励賞、第10回西洋美術振興財団学術賞受賞。