「美術評論のこれまでとこれから」遠藤水城

質問1これまでの美術評論でもっとも印象的なものについてお答えください。

多木浩二『死の鏡』(青土社、2004)
副題に「一枚の写真から考えたこと」とあり、その態度の徹底と思考の明示に強い衝撃を受けました。

 

質問2これからの美術評論はどのようなものになりうるかをお答えください。

テクストそのものの質と、批評的実践としか呼べないような営為が拮抗している状態を希望していますし、自身もその一部であれればと願っています。
私の狭い観測範囲かもしれませんが、黒嵜想や福尾匠による一連の仕事が素晴らしく、その後継のような仕事が多く現れることを期待します。

 

 

著者: (ENDO Mizuki)

1975 年札幌生まれ。京都市在住。キュレーター。
2004年、九州大学比較社会文化研究学府博士後期課程満期退学。art space tetra (2004/福岡)、Future Prospects Art Space (2005/マニラ)、遊戯室 (2007/水戸)などのアートスペースの設立に携わる。 2004-05年、日本財団APIフェローとしてフィリピンおよびインドネシアに滞在。05年、若手キュレーターに贈られる国際賞「Lorenzo Bonaldi Art Prize」を受賞。「Singapore Biennale 2006」ネットワーキング・キュレーター。2007年、Asian Cultural Councilフェローとして米国に滞在。同年より2010年までARCUS Projectディレクターを務める。2011年より「東山 アーティスツ・プレイスメント・サービス」エグゼクティブディレクター。2017年、ヴェトナムはハノイに新しく設立されたVincom Center for Contemporary Artの芸術監督に就任。国際美術評論家連盟会員。京都造形芸術大学客員教授。