質問1これまでの美術評論でもっとも印象的なものについてお答えください。
1960年代末から70年代前半、美術の概念化、物質化が進んだ時代に、その、語りがたい美術についてなんとか手探りで言語化しようとした評論家、作家たちの営為がもっとも刺激のあるものだと思います。
質問2これからの美術評論はどのようなものになりうるかをお答えください。
かつては美術を総体として論じることができたように思う。あるいは、それは幻想に過ぎなかったのかもしれないが、それでも評論家は美術の全体を意識していたように思う。現在、美術評論が可能なのは、美術の或る部分にすぎないのではないか。もしかすると、その反省、あるいは、反動として、美術を総体において論じる動きがあらわれるかもしれない。少なくとも、そのような射程を呈示しようとするものが出てくるのかもしれない。