「美術評論のこれまでとこれから」加治屋健司

質問1これまでの美術評論でもっとも印象的なものについてお答えください。

Michael Fried, “Art and Objecthood,” Artforum 5, no. 10 (June 1967)
それまでのミニマル・アート論を一掃し、今に続く解釈を打ち立てると同時に、図らずもモダニズム批評の限界を示して、1970年代以降の美術と批評の方向を逆説的に示すことにもなった、現代美術の批評の金字塔と言える。

 

質問2これからの美術評論はどのようなものになりうるかをお答えください。

キュレーターが作品の評価に大きな役割を果たす状況は続くため、美術批評は、即時的なレビューと研究色が強い論考の二極化がますます進むと思われる。

 

 

著者: (KAJIYA Kenji)

東京大学大学院総合文化研究科教授。著書に『絵画の解放 カラーフィールド絵画と20世紀アメリカ文化』(東京大学出版会、2023年)、編著に『宇佐美圭司 よみがえる画家』(東京大学出版会、2021年)、共編著にFrom Postwar to Postmodern, Art in Japan 1945-1989: Primary Documents (New York: Museum of Modern Art, 2012)、『中原佑介美術批評選集』全12巻(現代企画室+BankART出版、2011年―)。