【会員短信】「四つの出来事」深川雅文

2024年に行った自身の活動について短信します。

1.キュレーション:「Japanese Design 100 Today 現代日本デザイン100選」(国際交流基金)世界巡回スタート

2021年からキュレーターチームの一員に参加し2023年春に完成した「現代日本デザイン100選」展は、同年12月より世界巡回が始まった。これから約10年近くにわたり世界各地で開催が予定されている。最初の展示地はエジプト・カイロ。これから、ヨーロッパ諸国での展示も予定されている。国際情勢の厳しさが増す中でも文化的な交流に寄与できればと願っている。

2.評伝刊行: 深川雅文著『生きるアート 折元立身』(美術出版社、2024)

「パン人間」「アート・ママ」などで国際的に知られる現代美術家、折元立身のアートの全体像を、長期にわたる作家への聞き取り調査を元に描いてみた。折元立身に関する初の評伝。折元立身の理解と研究のための資料になり、また、パフォーマンスアートとは何か という問いへの一助になればと思う。

3.批評誌発行: 『写真批評』復刊第2号(TCP PRESS、2024)

自ら編集長として関わる本誌のミッションは、写真についての評論の場を広げることであると考え、「写真について語ること」を特集テーマとした。美術批評家、清水穣氏との対話、写真家、土田ヒロミ氏と伊奈英次氏との対話は今日の写真を理解する上でのアクチュアリティのある語りとなったと思う。評論の場として、ネット上のみでなく、紙の媒体の可能性を追求していきたい。

4.講演:「シュルレアリスムと複製技術(映画と写真)」

「シュルレアリスム100年映画祭」の関連イベントでの講演10月26日、ユーロスペース。アンドレ・ブルトンの「詩における自動記述は、まさしく思考の写真に等しいものである」1921年「ダダ マックス・エルンスト」展序文よりという文章を核にして論じた。「思考の写真」というブルトンの言葉が心の奥底に響いている。

2025年はどのような歴史の節目となるのでしょうか? バウハウスのデッサウ移転から100年、ライカA型発売から100年、戦後80年……