【2023~2024 私のこの3点】秋丸知貴、市原尚士、小川敦生、加須屋明子、川浪千鶴、小勝禮子、清水哲朗、徳山由香、中塚宏行、樋口昌樹、深川雅文、藤田一人、水野勝仁、山村仁志

◎秋丸知貴

「吉田克朗展ーものに、風景に、世界に触れる」
2024年4月20日ー2024年6月30日
神奈川県立近代美術館 葉山(神奈川県三浦郡葉山町)/

2024年7月13日ー2024年9月23日
埼玉県立近代美術館(埼玉県さいたま市)

もの派の中心メンバーでありながらこれまで開催されてこなかった、吉田克朗氏の創作活動の全体像を辿る初めての回顧展。これを見ると、吉田氏が最晩年まで《位相‐大地》の影響を昇華し、絵画においてもの派を追求しようとしていたことが分かる。図録も充実しており極めて貴重。

「Made in Takarazuka Vol.5 小清水漸の彫刻 1969~2024・雲のひまの舟」
2024年9月14日ー2024年10月15日
宝塚市立文化芸術センター(兵庫県宝塚市)
もの派の中心メンバーで宝塚市在住の小清水漸氏の55年にわたる創作活動の本格的な回顧展。初期作品だけに偏らず、「表面から表面へ」「作業台」「水浮器」シリーズ等の名品もバランス良く展示。関連イベントとして行われた小清水氏と加藤義夫館長の対談も充実しておりネット上での録画公開を期待したい。

「関根伸夫展 空相 – 皮膚」
2024年9月7日ー2024年12月28日
YOD Gallery 東京店(東京都渋谷区)
もの派の中心メンバーである関根伸夫氏の最晩年の連作に焦点を当てる展覧会。もの派を理解するためには、ムーブメントとしてのみならず各作家の展開をきちんと辿る必要がある。詳細については、2024年10月23日に『美術評論+』で公開した展評を参照されたい(https://critique.aicajapan.com/6774)。

 

◎市原尚士

山下紘加「玄」
2023年12月2日—12月28日
タカ・イシイギャラリー(東京都港区六本木)
虫のすだきがキャンバスの奥から幽かに聞こえてくる。葉擦れの音も。朝露にしとど濡れる。波しぶきが総身にかかってくる。にわたずみに己の未来が写って見える。自然の奇跡と今、ここで邂逅しているかのような絵画と向き合うことの喜びを満喫した。

「東京藝術大学大学院美術研究科博士審査展2023」
2023年12月15日―12月21日
東京藝術大学大学美術館ほか(東京都台東区上野)
先端芸術表現の謝花翔陽による約30分のパフォーマンスが圧巻だった。美術とか演劇とか舞踏とか、そんなジャンル分けをすることがいかに無意味か! この世に生まれてきてしまった不条理をどうにかして突き破らんとする謝花の叫びに心が震えた。

「ジャッカ・ドフニ 大切なものを収める家」
2024年3月16日— 8月25日
高島屋史料館TOKYO(東京都中央区日本橋)
サハリン少数民族ウイルタの私設資料館「ジャッカ・ドフニ」(北海道網走市)。今はなき同館の所蔵資料をまとまった形で、しかも東京で公開するという、おそらくは最初で最後の試み。「中央」という意識が放つ腐臭を一掃する「辺境」の力強さに思わず涙を流した。

 

◎小川敦生
「モダン・タイムス・イン・パリ 1925 ― 機械時代のアートとデザイン」
2023年12月16日— 2024年5月19日
ポーラ美術館(神奈川県箱根町)
1920〜30年代のパリを中心に世界で展開した「機械時代」を、機械・アート・デザインのかかわりで問い直した内容。プロペラとブランクーシの彫刻、蓄音機とドローネーの抽象画を並べるなどした展示には、感覚を大いに刺激された。

「決定版! 女性画家たちの大阪」
2023年12月23日— 2024年2月25日
大阪中之島美術館(大阪府大阪市)
島成園、木谷千種、生田花朝、河邊青蘭らが近代の大阪で展開した秀逸な表現に目を見開かされた。当時の女性画家に絵の道で生きる余地があったことに多少の安堵を覚えつつ、過去の批評の検証の甘さを自戒させられた。

「没後300年記念 英一蝶 ―風流才子、浮き世を写す―」
2024年9月18日― 11月10日
サントリー美術館(東京都港区)
英一蝶は狩野派出身ながらも島流しに遭った絵師として有名だが、《布晒舞図》や《雨宿り図屏風》などの名作を含めて90点近くを見る機会は過去になく、眼福を得た。技量やセンスだけではなく、ユーモアが超一流だ。

 

◎加須屋明子

「没後30年 木下佳通代」
2024年5月25日 ー 8月18日
大阪中之島美術館 (大阪府大阪市)
木下佳通代(1939 – 1994)の国内美術館での初個展。「グループ〈位〉」との関わりから、70年代80年代と表現の広がりがよく示された集大成。広い空間を巧みに使いつつ丁寧な調査研究の成果が見事。

「ホー・ツーニェン エージェントのA」
2024年4月6日- 7月7日
東京都現代美術館 (東京都江東区)
複数の映像インスタレーションとVR作品で構成された個展。最初期の映像から最新作まで、歴史や思想を背景として個人や集団の記憶を辿り、もう一つのあり得た世界の姿を考えさせる。会場をめぐる経験から胎内巡りが連想された。

石内都 STEP THROUGH TIME
2024年8月10日ー 12月15日
大川美術館(群馬県桐生市)
最初期の桐生周辺を撮影した《はるかなる間》(1976)から、最新作《From Kiryu》(2018-)まで、石内の軌跡を辿りつつ4層構造の美術館内を経巡り、時間の層が実感できる。ヴィンテージプリントも多数展示され、集大成とも呼べる貴重な個展。

 

◎川浪千鶴

「Women’s Lives 女たちは生きているー病い、老い、死、そして再生」
2023年10月9日ー22日
さいたま市プラザノース・ノースギャラリー(埼玉県さいたま市)
30代から60代の女性アーティスト8人を充実した個展形式で紹介。表現手法は様々でも彼女たちは生活の、人生のさまざまな観点から「生命と死」をめぐる表現に携わっている。妊娠や育児、病気、介護、弔いをネガティヴにではなく、シェアとケアの物語に読み換える時、新たな希望が生まれてくる。

「決定版!女性画家たちの大阪」
2023年12月23日ー2024年2月25日
大阪中之島美術館(大阪府大阪市)
明治から昭和前期にかけて大阪で活躍した女性の日本画家をまとめて初紹介したという以上に、女性画家たちが仲間同士で学び、支え、競い、後進を育て合いながら近代大阪の文化に大きく寄与した事実を、圧倒的な質と量で突きつけた痛快さが際立った。「地域美術」に深く広く向き合い続ける担当者の姿勢に感服。

「石垣克子 海・島・山 ちつづきの暮らし」
2023年12月2日ー2024年2月12日
つなぎ美術館(熊本県葦北郡津奈木町)

「宮本華子 在る家」 

2024年7月13日ー8月25日
大川市清力美術館(福岡県大川市)

「山内光枝 泡ひとつよりうまれきし」
2024年月13日ー9月23日
対馬博物館(長崎県対馬市)

沖縄、熊本、福岡といったローカルな拠点を持つ絵画、インスタレーション、映像をメディアとする女性美術家たちは、自身の足元や個々人との出会い、歴史を徹底的に掘り抜くことで人間や時代をめぐる普遍性を想像/創造し直す。彼女たちを支援する地方の小規模ミュージアムの伴走力が光る。

 

◎小勝禮子

「決定版!女性画家たちの大阪」
2023年12月23日-2024年2月25日
大阪中之島美術館(大阪府大阪市)
開館まで30年以上を要した同館で、学芸員小川知子氏の長年の調査研究成果をお披露目できた大阪ゆかりの女性日本画家たちの集大成展。大阪の日本画壇において、特に大正時代に女性画家が目覚ましい活躍を見せた活況が多様で豊かな実作品で示された。

「ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか?」
2024年3月12日-2024年5月12日
国立西洋美術館(東京都台東区上野)
名前の通り西洋の物故美術家を扱う同館が、初めて日本の現代美術家を招き入れた本展。企画者、新藤淳氏の問いかけに対する20人+1組の美術家たちの回答はもちろん千差万別。数が多すぎ、混沌が過ぎるのは予想されたが、美術家も研究員もその「志しやよし」と言っておきたい。

「芥川(間所)紗織 生誕100年記念 軌跡を回顧する旅へ」
2024年4月18日-12月22日
川崎市岡本太郎美術館(神奈川県川崎市)他、東京国立近代美術館(東京都千代田区)など全国10館の美術館
芥川紗織(1924-1966)の生誕100年に当たる今年、会期は各館の都合に応じて、コレクション展において年間にわたってリレーのように10館で次々と作品が展示された。1か所に集めた回顧展はできなかったが、遺族の熱意が各館の学芸員を動かし、こうした展示が実現したのは初の好企画。

 

◎清水哲朗

「横尾忠則 寒山百得」展
2023年9月12日ー2023年12月3日
東京国立博物館 表慶館(東京都台東区)
融通無碍な、線の動きと色彩。導かれるままに描いている。失礼な言い方かもしれないけれど、「横尾さん、自己の内部にある絵画の桎梏から解き放たれ、やっと自由に描けるようになりましたね」と。絵の前に立つと、ぐにゃぐにゃと崩れてゆくよう。それで、息吹が、次第に内側からあふれてくる。

岡﨑乾二郎『頭のうえを何かが Ones Passed Over Head』
2023年12月 ナナロク社刊
「ストローク(著者はそう呼んでいた)」発作後、次第に描かれ始めたドローイング。線も震えも、色も、みずみずしい。原初の動き。絵画の生成原理をあかしている。脳梗塞という一大事によってこそ、表現すること、描くという「原型」に出会う。万人に共通してゆく。

彫刻の森美術館 開館55周年記念「舟越桂 森へ行く日」
2024年7月26日ー 11月4日
彫刻の森美術館 本館ギャラリー(神奈川県足柄下郡箱根町)
入口、舟越アトリエの再現展示。生きること。彫刻すること。信仰、家族、愛すること、学生たちと共に学ぶこと…。ものたちが語り出す。会場を巡り、その裏側には、机上に、小さなドローイングのインスタレーション群。最後の病床で、ティッシュペーパーの箱を切り描かれたと言う。壁には、そのドローイングのプロジェクション。美術館を囲む箱根の外輪山にまでとどくようだった。

 

◎徳山由香

Sophie Calle À toi de faire, ma mignonne
2023年10月3日-2024年1月7日
ピカソ美術館(パリ)
数点を残し空になったピカソ美術館をフレームに、カルの初期からの作品と夥しい数の収集品が、不在と戯れる。見えるものと見えないものの執拗な追走の後、母の看取りに寄り添うモーツァルトのピアノ曲が感傷を越えた生の廻りを奏でる。

Walid Raad Cotton Under My Feet: The Hamburg Chapter
2023年8月10日-11月 12日
ハンブルガー・クンストハレ(ハンブルク)
アメリカ亡命の来歴とレバノン内戦の歴史を、イメージとテキスト、ラード自らの語りによって表象。レバノンで展示する作品が開梱すると10分の1になっていた-真偽不明の内容を現実として示しきるパフォーマンス。中東の緊迫した状況下、フィクションとしてしか提示できない現実をアートのあり様として鮮やかに見せた。

Francis Alÿs Ricochets
2024年6月27日-9月1日
バービカン・アートギャラリー(ロンドン)
水切り、石蹴り、手製スケートボード…世界中の子ども達の路上遊びを記録した映像群。兵隊を真似る戦時下の子、スポーツ禁止下のボールなしのサッカー。独自のルールと想像力で遊びを発案する子ども達の姿に、遊ぶ存在 Homo ludens としての人間の本質を見た。

 

◎中塚宏行

池垣タダヒコ退任展「リボンと角柱 — オリジナリティを探して」
2024年2月29日ー3月9日
京都精華大学ギャラリーTerra-S(京都府京都市)
銅板製の角柱筒型パイプを自在に繋げて構成する彫刻が制作された背景には、スピード感にあふれた質の高い、膨大な量のドローイングがあることがよくわかった。19~22歳のメキシコ滞在がやはり決定的であったと思われる。

「中野裕介/パラモデル展 よろぼう少年、かなたの道をゆく▷▷▷《俊徳丸伝説》であそぶ」
2024年4月25日―5月12日
東大阪市民美術センター(大阪府東大阪市)
東大阪市(花園)の河内電機工業所を営む家に生まれた作家が、地元に同名の駅もある「俊徳丸(弱法師)」伝説にこだわり続けた集大成の展覧会が地元で開催された。関連文献の展示や、トーク、ライブも行き届いていた。

「泉茂 1950s 陽はまた昇る」
2024年6月14日ー7月28日
市立伊丹ミュージアム (大阪府伊丹市)
その名が画壇に知られるようになった50年代(28~37歳)にこだわって、それを深堀りした展覧会。59年渡米、63年渡仏、68年帰国、帰国後は自らの50年代については多くを語らない。欧米体験を経た日本人作家の宿命か?

 

◎樋口昌樹

「さいたま国際芸術祭2023」
2023年10月7日ー12月10日
旧市民会館おおみや ほか さいたま市内複数会場
アートユニット目[mé]がディレクターを務めた芸術祭。出品作家の作品を見せることより、芸術祭そのものを自分の作品化することに主眼が置かれるという剛腕ぶり。賛否両論あったらしいが実に目[mé]らしいディレクション。

「空間と作品」
2024年7月27日ー10月14日
アーティゾン美術館(東京都中央区)
個人の居間などで美術品がどのように飾られているのか、を想像して空間構成した展覧会。部分的にそういう設えがなされた展覧会はままあるが、まるごとはこれが初めてなのでは。豊富な収蔵品を持つアーチゾンならではの、羨ましい企画展。

「田中一村展」
2024年9月19日ー12月1日
東京都美術館(東京都台東区)
孤高の画家・田中一村の足跡を膨大な作品数で辿る回顧展。時代ごとに様々な画風を試みてきたことが見て取れる。しかし葉っぱと鳥を描くと、常に一村節が炸裂するところが面白い。葉っぱの画家・一村。幼少期の神童ぶりにもびっくり。

 

◎深川雅文

「その「男らしさ」はどこからきたの?」(T3 PHOTO FESTIVAL TOKYO 2024 関連企画展)
2024年10月5日ー10月27日
正栄ビル 2F (東京都中央区)
日本に残存する男性中心主義的な価値観の幻影を、ゲイ雑誌コレクションからの男性イメージの展示と現代美術家・高田冬彦、現代写真家・甲斐啓二郎の展示との三角関係で浮き彫りにした企画者、小林美香の批評的キュレーション。

「『シュルレアリスム宣言』100年 シュルレアリスムと日本」
2024年3月2日ー4月14日
板橋区立美術館 (東京都板橋区)
ブルトンの『シュルレアリスム宣言・溶ける魚』刊行100年の記念年を捉え、日本でのシュルレアリスムの独自の展開を誕生から戦後1950年代まで、国内の作品と資料を駆使して総合的に見渡す記念碑的な展覧会であった。

「共棲の間合 -『確かさ』と共に生きるには-」
2024年2月10日ー5月12日
東京都渋谷公園通りギャラリー
共棲をテーマに三人と一組の現代作家を紹介。その意味を探り明らかにするための展示手法、対話を重視して趣向を凝らした多彩多様なイベント実施、ウエブにより展覧会をアーカイブとして残す工夫を有機的に結合した「展示体」の創造。

 

◎藤田一人

第79回春の院展での同人小品展不開催
2024年3月27日ー4月8日
日本橋三越本店
ほとんどの美術団体が百貨店での展覧会開催が難しくなるなかで、「春の院展」は三越本店で続けられている。それでも今年、毎回併催される同人小品展が不開催。人気日本画家の小品も売れ難い。日本の美術市場の反映か。

「渋谷区立神宮前小学校デザインプロジェクト」
2024年6月ー9月
渋谷区立神宮前小学校
表参道ヒルズ隣の渋谷区立神宮前小学校で、「総合的な学習の時間」に卒業生のファッションデザイナー・丸山敬太を招き実践的なTシャツデザインを体験。そこで制作された内の3点を商品化。新たな学校教育の模索。

「モネ 連作の情景」
2023年10月20日ー2024年1月28日
上野の森美術館
コロナ禍で急騰した美術展の入場料。コロナ禍が去っても、円安や航空運賃、保険料の高止まりで入場料が下がる気配はない。むしろ、同展の土・日・祝日一般3000円のように、近々に更なる上昇が予見される。

 

◎水野勝仁

「宮下恵太|わたしたちの光、おおらかなしるし」
2024年1月7日 ー2024年1月18日
EUREKA(福岡市中央区)
展示空間に長くいると、空間に馴染んできた私の意識と空間をあちらこちらで起こっている光の明滅が示す0と1の組み合わせによって、世界を計算可能なひと塊りの情報の集合として体験できると感じられるような展示で、どこにも存在しなかった情報のパターンを体験したかのような錯覚が新鮮だった。

Apple Pencil Proの「影」がiPadのディスプレイに表示される
2024年5月7日発表・15日発売
ディスプレイは自ら光っているために、影が落ちない平面であったところに、Appleは「影」を表示させる。この「影」は、デジタル特有の機能と物理空間特有の現象を組み合わせながら、Appleは私たちに情報を平面で操作させようすることを示している。私は「行為の平面化」の行き着く先が気になっている。

藤倉麻子「Sunlight Announcements / 日当たりの予告群」
2024年9月14日 ー 2024年10月20日
WAITINGROOM(東京都文京区)
テキストから喚起される情景がCGとなり、CGがオブジェクトになり、彫刻がCGになって、イメージとデータと物質を行ったり来たりする藤倉氏の作品は、私が見ているときに意識に現れるもの基準点が何であるかを撹乱し、見ているものと意識に現れるものの関係がこんがらがる感じがよかった。

 

◎山村仁志

「あざみ野コンテンポラリーvol.14 長谷川繁 1989-」
2023年10月7日ー29日
横浜市民ギャラリーあざみ野(神奈川県横浜市)
1989年にドイツに留学し、高名なコンセプチュアル・アーティスト、ヤン・ディペッツ(Jan Dibbets)に学びながら、概念にとらわれない痛快無比な絵画を30年以上描き続けてきた長谷川繁の個展。時流に乗らない反骨の画家。

「フランシス真吾 Exploring Color and Space―色と空間を冒険する」
2024年3月30日ー6月9日
茅ヶ崎市美術館 (神奈川県茅ヶ崎市)
矩形や円形という図形、そしてカンヴァスの境界線が、微妙な色彩や調子の変化に溶け込んで、時折空間を一体化させている。見る人の位置や外光の変化で輝きや色彩が変化し、画面全体が息づく。理屈抜きで、見ていて飽きない。(104字)

「Out of the Blue」
2024年9月27日ー10月14日
obi gallery (神奈川県藤沢市)
写真家、木坂美生は、日常に存在する「晴天の霹靂 Out of the Blue」のような瞬間をそのまま撮影する。私たちが普段見過ごしている宝石のような瞬間だ。古い民家と新しいギャラリーが併用された展示は、完璧な空間に見えた。