質問1これまでの美術評論でもっとも印象的なものについてお答えください。
質問2これからの美術評論はどのようなものになりうるかをお答えください。
予見的には語れませんが、自らの活動の意志として、美術評論家連盟の定款に定められた「目的」をあらためて確認しています。特に「政治、地理、民族、経済、宗教、ジェンダー等の境界を越えた職業上の関係を促進」し、「表現と思想の自由を守り、推進」することが、これからの美術評論ひいては評論家、批評家を名乗る立場に課せられた使命だと理解しています。
美術評論を書き、読み、語り、さらに編むことで、記録の更新をしながら歴史への再検討を促していく。そのことには、特定の領域を頑なに守ることではなく、さまざまな境界をむしろ突破していく勇気と、創造への敬意が肝要です。
これからの美術評論が、五感を駆使した豊かで真摯な思索であるならば、まさに人間らしい営みになりうるでしょう。